八十八ヶ所を巡拝するにはお遍路さんにふさわしい服装と用具を整えて旅立ちたいものです。これらに示したものは本来のお遍路さんの姿ですが、昨今では気軽に巡礼をされる方も増えて、必ずこうでなくてはならないというものではありません。ですが巡拝の意義と心得を理解し個々にご配慮いただき、お参りいただきたいと思います。

おいずる

衣服の上に着る袖なしの白い羽織のことです。背中に「南無大師遍照金剛」と書きます。白装束は死出の旅姿ですが、昔はそれだけ決死の覚悟で八十八ヶ所を巡拝したもののようです。

金剛こんごうづえ

お大師さまの分身として大切に扱い、宿に着いたらお大師さまの御足を洗うごとく、杖の先を洗い床の間に立てます。往時にお大師さまが橋の下で一夜を過ごされたことがあり、その古事を尊んで橋の上では杖をつかないようにしましょう。

納経帖のうきょうちょう

正式には「般若心経」等の経文を写経し、札所の各寺院にお布施を添えて納め、そのしるしに御朱印をいただくというものです。現在では写経の代わりに「納め札」で代行しているようです。くれぐれも単なるスタンプでないことを忘れず、信仰をもって大切に扱いたいものです。

納め札おさ ふだ

紙札に住所氏名年齢を記入し、参拝したところに納めます。遍路同士で交換し名刺の役割も果たします。

そのほか、輪袈裟、念珠、手甲、脚絆などの用意をしましょう。服装は身軽で足下は履き慣れたものにし、不必要な荷物は持たないようにします。